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腸内フローラとは? 技術・専門用語解説 | SCOPEdia

「なんか最近、よく耳にする」「なんとなくは知っているけど雰囲気で使っている」「○○と△△ってことば、なにが違うの?」……そんな疑問にお答えする技術・専門用語解説コーナー「SCOPEdia」。今回は腸内フローラ(腸内細菌/マイクロバイオーム/微生物叢/細菌叢/脳腸相関)について解説します。

「腸内フローラ」とは?

腸内フローラとは、腸管(大腸・小腸)内に常在するマイクロバイオーム(microbiome:微生物叢・細菌叢)です。

叢(そう)という漢字は「群衆」を意味します。簡単に言うと「お腹の中にいる細菌の集まり」が「腸内フローラ」となります。

人間には、腸だけではなく、皮膚や鼻腔、泌尿・生殖器、消化管内などにマイクロバイオームが存在します。

その中でも腸管内のマイクロバイオームは「腸内フローラ(腸内細菌叢/腸内常在菌叢)」と呼ばれ、特に有名です。

体重60キログラムの成人の腸管内には、1,000種類以上、100兆個以上、重量にして1~2キログラムの腸内フローラが常在すると言われています。

「腸内フローラ」が注目される理由

近年、その「腸内フローラ」が注目されているのは、腸内細菌叢がひとの代謝系や免疫系、脳神経系などの生体制御に大きな影響を持つことが知られたことが理由です。

腸内フローラの歴史

腸内細菌叢を対象とした研究は1960年代に活溌におこなわれ、そこで現在でもよく聞く「善玉菌」や「悪玉菌」などの系統分類がおこなわれました。ただし当時は技術的な限界もあり、全体像や宿主である人間との関係を解明するには至りませんでした。

2000年代に入り、機材や解析技術の発展により、腸内フローラの菌種構成割合(種多様性)やDNA情報の詳細がわかってきました。その知見により、腸内フローラと宿主である人間が、界(生物分類の上位階級)を超えた情報交換を行っていることが判明しました。

たとえば、欧米人はワカメやノリなどの海藻類をほとんど食べません。日本人は海藻に含まれる多糖類(ポルフィラン)を分解する酵素が体内で作られていますが、欧米人はその酵素を持っていないからです。

しかし、その酵素を作る遺伝子が日本人のヒトDNAに含まれているわけではないのです。日本人が持つ腸内細菌の1種(Bacteroidesplebeius)がポルフィラン分解酵素を作る遺伝子を持っています。

このように、人体の機能はヒトの遺伝子だけで成り立ってるのではなく、腸内フローラのような共生微生物のもっている酵素や代謝産物(メタボローム)などが欠かせないものなのです。

腸内フローラと脳や病気との関連

腸内フローラの状態が脳の働きやさまざまな疾患と関連することも明らかになっています。食物アレルギー、糖尿病や肥満なども腸内フローラとの関連が示唆されています。

2010年代には、腸内フローラの状態がうつや認知症などの脳機能や脳活動に影響しているという、いわゆる「脳腸相関」の存在が研究されています。ストレスや睡眠不調を改善する乳酸菌飲料(プロバイオティクス)の開発も行われています。

腸内フローラの多様性は性別や年齢、居住地域や生活習慣などで大きく異なり、また個体差も大きく、「どのような状態が最適か」という結論はまだ出ていません。

老化や生活リズムに関わる「時計遺伝子」や「長寿遺伝子」の発現に影響があるという報告も数多くあります。

身体の健康や、メンタルヘルスが重要視される現代。腸内フローラをはじめとする細菌叢との共生関係をどう維持し、改善していくかというのが医療や健康のヘルスケア分野でもひとつのポイントになっていくでしょう。

「腸内フローラ」が実現する未来

今後、さまざまな心・脳機能の不調に対して、腸内細菌叢のどの菌種が関連しているのかの候補が絞られていくでしょう。

ストレス性睡眠障害やメンタルヘルス(抑うつ・不安)、発達障害(自閉症)、認知症、ストレス性の肥満や加齢性難聴などです。

腸内細菌叢の最適化が、個々人の遺伝子情報にあわせた「オーダーメイド医療」「オーダーメイド創薬」の一翼を担うこととなるでしょう。

腸内フローラについては個人差が大きく、心身の健康との関連性を解明するには、ビッグデータを活用したデータマイニングの手法も必要です。

予防を前提とした「未病」維持のための免疫増強やアンチエイジング、メンタルヘルス、生活習慣病の予防や改善に効果的な製品の開発が期待されます。

「腸内フローラ」の関連キーワード

ディスバイオシス(dysbiosis)

菌叢分布のバランスが崩れた状態。疾病がおこりやすいといわれる。

プロバイオティクス(probiotecs)

腸内フローラのバランスを整える健康に有益な乳酸菌やビフィズス菌などのいわゆる「善玉菌」のこと。

プレバイオティクス(prebiotecs)

プロバイオティクス(善玉菌)の働きを助けるオリゴ糖などの物質。

シンバイオティクス(synbiotecs)

プロバイオティクスとプレバイオティクスを最適な組み合わせで使用すること。

インターキングダム・シグナリング(inter-kingdom signaling)

生物分類の界(キングダム)を超えた情報交換のこと。

「腸内フローラ」をさらに知るために

「腸内フローラ」に関連する成長領域・社会課題

アスタミューゼ株式会社では世界80か国の特許、研究開発費、投資等の情報を集積・分析し、「未来を創る2025年の成長領域」と「未来に向けて解決すべき社会課題105」を独自に定義しています。

「腸内フローラ」に関連する成長領域と社会課題は以下となります。

成長領域

社会課題

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