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ゲノム編集とは? 技術・専門用語解説 | SCOPEdia

「なんか最近、よく耳にする」「なんとなくは知っているけど雰囲気で使っている」「○○と△△ってことば、なにが違うの?」……そんな疑問にお答えする技術・専門用語解説コーナー「SCOPEdia」。今回は2020年のノーベル化学賞を話題になった「ゲノム編集」について解説します。

「ゲノム編集」とは?

まず、「ゲノム編集」という技術について、混乱しやすい言葉とともに解説します。

DNA/遺伝子/ゲノムの違い

ゲノム(genome)とは、遺伝子(gene)と染色体(chromosome)から合成された言葉で、DNAのすべての遺伝情報のことです。

このゲノム・遺伝子・DNAというのが言葉の違いが分かりにくいです。

DNA(デオキシリボ核酸)とは?

人を構成する細胞の一つ一つに核があり、核の中には染色体あり、染色体の中に折りたたまれて入っているのがDNA(デオキシリボ核酸 / deoxyribonucleic acid)です。

DNAは化学物質のことで、4つの塩基から構成されている塩基配列からなり、ヒトのDNAには32億の塩基対があります。

遺伝子(gene)とは?

遺伝子とは、DNAの中でも生物の設計図(遺伝情報)の部分のことであり、ヒトには約23,000個の遺伝子が含まれています。つまり、遺伝子はDNAの一部ということで、どのような働きをしているのか、まだまだ分かっていないDNA配列もたくさんあります。

ゲノム(genome)とは?

ゲノムとは、DNAの生物の設計図(遺伝情報)すべての総称です。言い換えればその生物になるために必要なDNAのセットを、ゲノムといいます。ヒトはヒトゲノムを、ネコはネコゲノムを持っています。

ゲノム編集とは?

ゲノム編集は、一言で言えば突然変異を意図的に起こす技術と言えます。

自然な環境の下でもDNAが切れることがよくありますが、生物はそれを元通りに修復する仕組みを持っています。大部分は元通りにきちんと修復されますが、たまに間違えて修復してしまい、その部分のDNAが変化します。DNAの中でも遺伝情報部分が変わるとその生物の性質が変わってしまうことがあります。これが突然変異です。

ゲノム編集は、特定のDNAを「狙って切断する」技術のことです。生物には切れたDNAを修復する仕組みがありますが、たまに間違いが起こります。ゲノム編集技術で特定の場所を集中的に切れば、結果的にそこに突然変異を起こすことができるというわけです。

「ゲノム編集」と「遺伝子組み換え」の違い

遺伝子組み換えは、外から新たな遺伝子を挿入する技術です。ゲノム編集は外から加えるのではなく、狙って切断して変化させるのです。

自然交配は、近縁種を掛け合わせて新たな性質を得る方法です。いろいろな性質のものが受け継がれるので、良いものができる確率が低く、長期間かかります。遺伝子組み換えは、これを短期間で確率を高めるために、欲しい性質の遺伝子を外から挿入することです。しかし、どの遺伝子が変わるかがわからない運任せの部分が大きいです。特徴としては、種を超えて遺伝子を組み込むこともできます。

ゲノム編集は、狙った遺伝子を切ることができるのがポイントで、遺伝子組み換えよりも確実性が飛躍的に向上しています。また、自然界で起きている突然変異を促しているので、遺伝子組み換えよりも安全性が高いと言われています。

「ゲノム編集」が注目される理由

ゲノム編集はすでに農業・医療分野では実用的に応用されており、環境保護につながる研究も進められています。またその技術進歩のスピードも注目されています。

技術が応用される分野

農業分野では、肉量の増えたマダイや牛、毒素を大幅に減らしたジャガイモ、穂につく粒の数を増やしたイネなどの、食料生産効率が高まる研究開発が進められています。

医療においては、遺伝子の欠損によって起こる病気の治療として、原因になる遺伝子を正常な遺伝子で書き換える等の臨床応用が大いに期待されています。また、エイズ、白血病、がんなど難病の新規治療法にも期待が高まっています。

その他に、植物の光合成の能力をゲノム編集で強化し大気中の二酸化炭素を減らす研究や、藻から抽出される油をゲノム編集技術により増やすことで、化石燃料に代わるバイオ燃料を生産性を向上する研究があります。どちらも地球温暖化の抑制に寄与すると期待されています。

技術進歩のスピード

ゲノム編集に必要なゲノム解析コストは、20年前に比べて10万分の1に低下しています。

また、ゲノム編集の成功率が100万~1万回に1回から10回中9回成功に、所要時間も半年~1年かかった期間が3週間へと短縮しています。

さらに、今では高校生でもトレーニングすれば仕様可能なレベルになるほど簡単に扱えることや、ネットで(学術用は安価に)、編集したいゲノムに合わせた酵素(ゲノムを切断する役割)を買うことまで可能です。

「ゲノム編集」が実現する未来

医療においては、オーダーメイド(個別化)医療が実現されると言われています。

患者個人の遺伝子情報から治療法を組み立てることで、例えば薬の効きやすさには個人差があるので、薬の種類、量を調整することができることで、より効果の高い医療を選択することができます。

ただし、ゲノム編集技術を人に直接応用することは、近年世界中で倫理的議論を引き起こしています。また、ゲノム編集された食品についても、慎重に取り扱うべきとする声もあります。

「ゲノム編集」の関連キーワード

 CRISPR-Cas9(クリスパーキャスナイン)

2020年にノーベル化学賞を受賞したゲノム編集技術。キャスナインという人工酵素でDNAを切断し、別の遺伝子情報を挿入する技術。リボ核酸(RNA)と組み合わせることで特定のDNA配列を高精度で改変できる。

オフターゲット作用(off-target effect)

狙った配列以外の遺伝子/部位を切断してしまうこと。

ヌルセグリガント(nullsegregant)

植物におけるゲノム編集を行った時に、次世代の種において外来遺伝子が残っていない個体のこと。

「ゲノム編集」をさらに知るために

  • バイオステーション
    • 【WEBサイト】内閣府が実施する「戦略的イノベーション創造プログラム」の1課題である「スマートバイオ産業・農業基盤技術」において設立された研究コンソーシアム「最新育種ネットワーク」が運営する。
  • ゲノム編集技術(農林水産技術会議)
    • 【WEBサイト】農林水産省設置法による、国家行政組織法上の特別機関「農林水産技術会議事務局」によるゲノム編集の解説ページ。
  • ゲノム編集の衝撃 「神の領域」に迫るテクノロジー
    • 【書籍】『NHKクローズアップ現代』の書籍化。京都大学iPS細胞研究所所長・山中伸弥氏による序文と、ゲノム編集の国内における第一人者・山本卓氏(広島大学教授)へのインタビューも収載。

「ゲノム編集」に関連する成長領域・社会課題

アスタミューゼ株式会社では世界80か国の特許、研究開発費、投資等の情報を集積・分析し、「未来を創る2025年の成長領域」と「未来に向けて解決すべき社会課題105」を独自に定義しています。

「ゲノム編集」に関連する成長領域と社会課題は以下となります。

成長領域

社会課題

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