5年先の社会を発信するラボ
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市場概要

人類の風力利用の歴史は長く、中世後期からヨーロッパを中心に風車を使って灌漑や製粉を行ってきたが、風力発電の利用は19世紀末の欧米諸国が端緒である。

20世紀に入って風力発電の本格的な利用が始まり、1970年代のオイルショックにより代替エネルギーとして関心が高まり、様々な技術開発が進んだ。近年は、再生可能かつ低炭素なエネルギーとして世界的に導入が進んでいる。

風力発電の原理は、風力エネルギーで風車を回し、その回転力を発電機に伝達して電気を発生させるものである。ブレード・ローター軸などのローター系、発電機軸・増速機などの伝達系、発電機・インバーターなどの電気系、出力制御やブレーキ装置などの運転・制御系、ナセル・タワーなどの支持・構造系などの構成要素があり、部品数は1万点以上に上る。これらにおける技術革新により、風車の大型化や発電効率の向上が可能となった。

風力発電の設置場所としては、年間を通して安定した風が吹く場所が適しており、陸上と洋上に大別されるが、日本では従来は山岳地に設置されてきたものの好適地が減少しており、近年は洋上での設置が盛んとなっている。更に、洋上発電は着床式と浮体式に大別され、基礎部分の構造から前者はモノパイル式・重力式・ジャケット式などがあり、後者はパージ式・セミサブ式・スパー式などがある。建設コストの観点から、水深50メートル以下の海域では着床式が、それ以上の水深では浮体式が優位であるとされており、基礎方式は海底状況などにより選択される。なお、現時点で商用化されている洋上風力発電は着床式のみで、浮体式は実証研究段階となっている。

日本での風力発電は、2003年に再生可能エネルギー利用割合基準制度(Renewables Portfolio Standard, RPS制度)が全面施行され、電気事業者に対して一定割合以上の新エネルギーから発電される電気の利用が義務づけられたことにより、本格的な取り組みが開始された。更に、2011年の東日本大震災で再生可能エネルギー導入の機運が高まり、2012年固定価格買取制度(Feed-in Tariff, FIT制度)により導入が拡大された。

しかしながら、日本での再生可能エネルギーは太陽光発電が中心であり、2017年の発電量のエネルギー源別シェアで太陽光発電が5.90%であるのに対して、風力発電は0.61%にとどまっている。また風力発電の発電量自体も、世界上位3か国(中国:18,823万kW、米国:8,908万kW、ドイツ:5,613万kW)に比して、日本は350万kWと少ない。

これらの原因としては、開発サイクルの長期化や建設費の高さにより発電コストが高いことや、年平均風速など風況が劣ること、市場規模の小さいことなどが挙げられるが、その一方で日米欧への特許出願を見れば、三菱重工や日立製作所、NTNなど日系企業が上位に名を連ねており、技術力は十分に保有している。

2018年7月に閣議決定された第5次エネルギー基本計画では、再生可能エネルギーの主力電源化に向けて取り組むことが明記され、エネルギー安全保障の観点からもエネルギー自給率を上げることが望まれている。広大な排他的経済水域を持つ日本は洋上風力発電で有利であり、洋上風力発電を含む風力発電市場の今後の発展が期待されている。

なお、スペインのVortex Bladeless Ltdのように、流体が細い構造を通過するときに生じるカルマン渦のエネルギーを利用した回転翼のない風力発電機を開発している例も見られ、自然エネルギー利用の新しい技術として注目される。

主な技術要素

自然エネルギー、再生可能エネルギー、風車、羽根、ブレード、タービン、動力伝達軸、ナセル、増速機、発電機、ブレーキ装置、ローター軸、発電機軸、インバーター、変圧器、ギア、回転速度、電気変換、塔体、昇圧、送電線、配電線;羽根無しタービン、ボルテックス、渦度、円錐体、振動、共振

確かなデータに基づき、
未来を予測する。
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