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未来を創る成長領域

89.壁面緑化・屋上緑化・ビル緑化

市場概要

1994年に我が国で最初の緑化に関する政策として「緑の政策大綱」が策定され、以後「地球温暖化対策推進大綱」(2002年)、「生物多様性国家戦略」(2002年)などを経て、2004年に「ヒートアイランド対策大綱」が作成された。その4本柱の1つに地表面被覆の改善があり、その中で有効性が確認されているものの1つが緑化技術である。

それまでも、公的敷地である公園や街路樹による緑化は行われており、私的空間である建築物やその敷地内においても生垣や庭木、プランターなどを用いて緑化することが行われてきたが、限界があることから、従来とは異なる手法・技術を用いて行うのが壁面緑化や屋上緑化である。

壁面緑化とは、建築物の外壁にツタなどの植物を育成する緑化技術であり、設置方法により登攀型・下垂型・壁面設置型に大別される。設置面積が少なくて済み、屋上に空調設備や防火設備などがあって十分な面積がない場合にも緑化率を確保でき、日照遮蔽効果に優れるなどの利点がある。

一方、屋上緑化は、建物の最上部や屋根を草木などで緑化する技術を指し、植栽の種類によって、平面緑化(草本類による緑化)・立体的緑化(草本類及び木本類による緑化)・ビオトープ緑化(多様なハビタットのある緑化)に分類され、雨水流出緩和効果や虫類・昆虫類の誘致と繁殖効果などの利点を有する。

両者に共通する効果としては、空気浄化効果や加湿効果、騒音低減効果などの物理的効果のほか、リラックスやリフレッシュなどの心理的効果や、宣伝・集客効果などがある。国土交通省による全国屋上・壁面緑化施工実績調査よると、2000-2017年にかけて、単年の施工面積では2008年をピークにその後は増減を繰り返してはいるものの、累計の施工面積では壁面緑化が0.23ha(2000年)から90ha(2017年)に、屋上緑化が13.5ha(2000年)から499ha(2017年)に拡大している。

また、壁面緑化と屋上緑化に関する要素技術としては、植栽を植える基盤と土壌、給水・防水・排水などの管理技術があり、軽量化や施工性、保水性、導入やメンテナンスのコスト、耐久性などが技術上の課題となっているが、普及の鍵を握るのは環境改善効果の定量化である。具体的には、建物内部温熱効果の改善や景観改善、ヒートアイランド現象の緩和などであり、これらの課題克服に対するニーズが高くなっている。

前述のように、2000年以降壁面緑化と屋上緑化の施工面積は拡大しているものの、緑化市場で成熟期を迎えているドイツでは単年の屋上緑化面積が1000ha以上であるのと比べると、その差は明瞭である。ドイツの屋上緑化は雨水の貯留や冬季の断熱性などが中心であり、日本のヒートアイランド対策とは異なるものの、屋上緑化の義務化のほか、助成金や下水道料金の減免措置など緑化導入を促進する施策が行われている。日本でも、2001年に東京都が国に先駆けて緑化の義務化や屋上緑化の推進を提唱したことで、関連する特許出願や発表論文が急増し、日本の緑化市場に対して大きなインパクトを与えた事例があり、今後も壁面緑化や屋上緑化の更なる拡大・普及のために、行政による施策の追加や企業による技術革新が望まれる。

主な技術要素

躯体の保護・建物の耐久性の向上、大気汚染物質の吸収・吸着、外断熱、環境問題、地球温暖化、ヒートアイランド現象、CO2排出量削減

確かなデータに基づき、
未来を予測する。
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