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3.太陽熱発電

市場概要

太陽エネルギーを用いた発電としては、太陽光発電と太陽熱発電がある。前者は光起電力効果を利用し、太陽電池で光エネルギーを直接電力に変換して発電するが、後者はレンズや反射鏡、反射板を用いて集光した太陽熱を熱源として利用し、熱媒体(Heat Transfer Fluids, HTF)を加熱して生成する蒸気を用いてタービンやスターリングエンジンを回して発電する発電方法である。

太陽熱発電は反射型集熱(concentrating solar power, CSP)とも呼ばれ、発電原理自体は火力発電と同じであるが、燃料費が不要で温室効果ガスを排出せず、太陽電池が不要なため太陽光発電よりも導入費用が低い。また、曇天や雨天時には発電効率が低下するが、溶解塩を用いた蓄熱により日射を得られない時間帯も発電が可能で、太陽光発電と異なり、スケールメリットが利くため大規模化も可能である。更に、火力発電との併用も可能で、ハイブリッド化されたシステムはIntegrated Solar Combined Cycle System (ISCCS)と呼ばれる。

上記のようなメリットのある太陽熱発電であるが、設置地域としては日照時間の季節変動が少ない低中緯度が好適であり、2017年末の総容量・エネルギー生産量の上位5か国は、スペイン・米国・南アフリカ・インド・モロッコとなっている。

装置構成としては、太陽光を集光するコレクター、コレクターに据え付けられるミラー、集光された太陽熱をHTFに伝えるレシーバー、夜間発電するための蓄熱システム、蒸気タービンや発電機などのパワーブロックから成る。レシーバーのタイプにより、線形レシーバーとポイント型レシーバーに大別され、前者では曲面鏡を用いたパラボラ・トラフ型とリニア・フレネル型があり、後者ではタワー型とディッシュ型がある。

パラボラ・トラフ型は、雨樋状の曲面鏡を用いて集熱管内のHTFを加熱するもので、既に商業化されており、高度な集光技術が不要で成熟した技術となっているが、蒸気温度が400度未満と低いことが課題である。リニア・フレネル型はパラボラ・トラフ型の類似の技術で、集光効率で劣るものの価格が安いというメリットがある。

一方、タワー型は、平面鏡を用いて中央部のタワーにある集熱器に太陽光を集光させるシステムで、ヘリオスタットと呼ばれる太陽追尾装置を備えており、多数のヘリオスタットから1点のレシーバーに集熱するため高温の蒸気を作ることが可能となっている。また、ディッシュ型は、放物曲面状の鏡を用い、衛星放送のパラボラアンテナのように焦点上に集光し、スターリングエンジンによって発電するもので、HTFを約750℃まで加熱可能で、発電効率が高いなどのメリットがあるものの、商業規模での実績はなく、実証試験段階に留まっている。

前述の通り、太陽熱発電の好適な設置場所として低中緯度地域が挙げられ、ドイツやスペイン、米国の企業が優位性を持っている。特に、コレクター・レシーバー・蓄熱システムでは技術的な参入障壁が高く、特定の企業による寡占状態となっている。しかしながら、太陽熱発電の技術自体は決して新しいものではなく、技術革新の余地があるため、日本企業にも参入のチャンスがあり、今後の成長が期待される分野となっている。

主な技術要素

集光・集熱部(集約部)、発電部、蓄熱部、冷却水、トラフ・パラボラ型、リニア・フレネル型、タワー型・ビームダウン型、ディッシュ型、スタンドアロン方式、ハイブリッド方式、太陽熱発電技術にガスタービン発電技術を組み合わせた新方式の太陽熱複合発電(ISCC)方式、融解塩を用いた繊熱蓄熱システム、直接二層式、間接二層式、サーモクライン式、固定買取価格

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