5年先の社会を発信するラボ
  • 5年先の社会を発信する未来ラボ
  1. TOP
  2. >
  3. 未来を創る成長領域
  4. >
  5. 50.ロボット飛翔体・ドローン
未来を創る成長領域

50.ロボット飛翔体・ドローン

市場概要

ロボット飛翔体とは、人間による操作を必要とせず自律的に空中を飛びながら移動する物体を指す。またドローン(Drone)とは一般に無人航空機(UAV)を指すが、近年では無人車両(UGV)や無人船舶 (USV) 、さらに探査衛星などをも含むこともある。

クワッドコプターやマルチコプターで知られているドローンは、機体に搭載するカメラでの空撮やセンサでの計測に活用されているが、荷物の運搬や配送、遠隔での監視・追跡、農薬の散布、軍事や救援作業などの多種多様な利用方法が考えられ、今後様々なビジネスで活発に活用されていくと思われる。特に日本では少子高齢化が進み、慢性的な労働力不足による人件費の高騰で無人化や省力化が求められており、ドローンの活用は多岐にわたって拡がっていくだろう。昨今では、土木・建設・測量系や運送系で高い求人倍率が続き、深刻化した状況にあるため、インフラ設備の点検や3次元測量、物流などでのドローン使用率が高くなると予想される。

オランダにあるDelft工科大学とWageningen大学が共同で開発した自律飛行ロボット「DelFly Nimble」はキイロショウジョウバエの動きを研究して製作されている。4枚の羽根を1秒間に17回はばたかせて最高速度25㎞/hで飛行し、前後左右や宙返りなど自由自在に移動する。一回のフル充電で5分間のホバリングか1㎞以上の距離を飛び続けることが可能である。一方、日本の早稲田大学は昆虫や鳥の動きを模した羽ばたき型ロボット「WiFly」を開発している(特許第5857658号)。その運動は垂直離着陸やホバリング、水平飛行や旋回など様々な飛行動作が行え、バッテリーの移動によって機体の重心位置を変えて空中での姿勢を変更させるという特徴を持つ。これらのような生き物を模倣したロボット飛翔体は、上昇気流のきつい場所などプロペラ型ドローンにとっては難しい環境でも生物の様に飛行できる可能性があり、研究が進められている。

2017年に設立された日本のスタートアップ企業であるエアロネクスト社は、新技術である「4D Gravity」搭載のドローンを開発した。この「4D Gravity」は飛行中のドローンの重心を最適化するもので、燃費や速度などのドローンの基本性能を引き出すことができる。またこの技術によって長い棒をドローン本体に取り付けても安定した飛行ができ、棒の先端にカメラやセンサを取り付けることで従来ではドローン本体が近付けなかったような狭い空間などの撮影も可能となり、インフラ施設の点検や検査などに応用できるとしている。

欧州のAirbus社は太陽エネルギーで成層圏を飛ぶUAV「Zephyr」を開発・展開している。このUAVは天候に左右されることがなく、また二次バッテリーを搭載しているので太陽光のない夜でも飛行が可能で2018年8月時点では約26日間の連続飛行を達成している。高高度を連続で飛行できるため、災害現場の写真撮影や環境モニタリングといった、これまで人工衛星が行ってきた市場の一部を担うという新たな用途が期待されている。また衛星は通常一度打上げたら再使用できないが、このUAVは地上で回収し再度飛行させられるため、ペイロード(積載物)を交換することで様々な任務を遂行することが可能となっている。

前述のように、ドローンは荷物の配送手段としての活用が世界中で望まれている。海外では、2017年に米国のMatternet社がスイス・ルガーノ市で、スイス連邦民間航空局から市の上空飛行の許可を得てドローンでの医療器具や輸血用血液の輸送を実用化させている。またアイスランドの首都レイキャビクでも2017年よりAHA社が、決められた航路を通るドローンで食品を配達している。しかしルガーノ市やアイスランドの例は珍しく、多くの国ではまだ実験段階である。2015年に日本でもドローン特区として指定された千葉市や徳島県那賀町において配送サービス実験を行ってきたが、2018年に改正航空法の規制が緩和され、操縦者の目視外をドローンが飛行する場合、山間部など人の少ない場所に限り目視外補助者無しでも飛行が可能となり、ドローン特区以外の地方自治体(福島県南相馬市や埼玉県秩父市など)でも配送実験が行なわれている。さまざまな実験を重ねることで、日本政府は2020年前半には人のいる場所でも目視外飛行による配送を実現させ、最終目標として都市の物流をドローン配送が担うとしている。

今後広くドローンでの配送を実現させるためには、ハッキングや盗難などの犯罪や墜落時の安全確保などへの対策が必要となってくる。2019年時点では、ドローンとPC・スマートデバイスの間に特別なセキュリティ技術は実装されておらず、乗っ取りの被害にあう危険度が高い状態にある。日本の情報通信研究機構(NICT)とPRODRONE社は2016年、ドローンの通信に共通鍵暗号とワンタイムパッド暗号を適用した配送システムの実証実験を成功させた。この方式では膨大な計算や複雑な関数を必要としないため、小型で安価なデバイスでも安全な制御通信を確立させており、この成果によりPRODORONE社は今後ドローンの高秘匿化を実現させたシステムをオプションで展開していくと発表している。また2018年に日本の松屋R&D社は世界に先駆けてドローン用のエアバッグを開発した。ドローンが落下し始めるとこのエアバッグは自動で開くため、仮に人にあたったとしても衝撃を和らげることができ、墜落時の安全確保に役立つ仕組みとなっている。

ドローンでの配送は、その特徴からまず自動車では配送コストのかかる人の少ない郊外で実用化され、その経験をもとに徐々に都市部へと浸透していくだろう。

主な技術要素

航空制御、GPS利用自律制御、準天頂衛星利用自律制御、編隊飛行、機体制御、方向制御、ホバリング制御、離着陸制御、姿勢安定化制御、防振、セルフチューニング、機体構造、無人航空機、マルチコプタ、垂直離着陸機、プロペラ保護、遠隔操縦機、無人地上車両、無人水上艦艇、無人潜水艇、無人掃海ロボット、可視光カメラ・センサ、ガンマ線カメラ・センサ、ジャイロセンサ、加速度センサ、音響センサ、超音波センサ、バッテリ交換機、再充電器、無線操縦、画像伝送、データ伝送

確かなデータに基づき、
未来を予測する。
Nikkei-astamuse 成⻑領域レポート

NIKKEI astamuse

日本経済新聞社とアスタミューゼがまとめた
有望成長領域136分野のレポート販売中!

日本経済新聞社とアスタミューゼが全世界の論文・特許、国内外の国際会議やシンポジウム、
展示会等の情報、並びに独自ネットワークによる口コミ情報を活用し、
今後10年から20年のスパンで「大きく成長が見込まれる分野」を策定。

日本経済新聞社が関連ニュースなどをまとめ、
現在と近い将来の成長分野を立体的に解説します。

「2分でわかる」成長領域レポート
パンフレット(無料)のダウンロード
レポートご購入のお申し込み
PAGE TOP