5年先の社会を発信するラボ
  • 5年先の社会を発信する未来ラボ
  1. TOP
  2. >
  3. 未来を創る成長領域
  4. >
  5. 21.個別化医療・プレシジョンメディスン
未来を創る成長領域

21.個別化医療・プレシジョンメディスン

市場概要

プレシジョンメディスン(精緻医療)とは、これまで疾病ごとに標準化・平均化された患者向けにデザインされていた医療を、遺伝子・環境・ライフスタイルなど個人差を考慮し、同じ疾病でも症例をより精緻に定義した患者群にカテゴライズし、それぞれのカテゴリーに最適化された医療の確立を目指すものである。最もプレシジョンメディスンが進んでいる疾患であるがんを例にとると、がんの遺伝子変異を調べ、その変異に対して選択的な分子標的治療薬の投与や免疫療法を行う。

患者一人ひとりに最適化されたテーラーメイド医療・個別化医療と概念は似ているが、特定の個人にターゲットを絞るものではなく、同じ疾病の患者を遺伝子・環境・ライフスタイルなどの切り口で統計的にセグメント化する医療であり、完全な個別化医療の手前にある概念と捉えるべきである。完全な個別化医療の手前にプレシジョンメディスンが提唱されるようになった背景には、個別化医療の重要指標と考えられていた個人ゲノムの多様性が思った以上に大きく、特に一塩基多型(SNPs)と相関のある病気でも、個体差があり、同じ変異を持ちながら、発症の程度や薬の効果には大きな差があるなど完全な個別化医療への道がかなり遠いことが実感されてきたことが一因とされる。

医療分野で最も注目されている領域の一つであり、NIHは100万人規模のコホート(疫学)研究、遺伝子データベースの構築、高速・微量の遺伝子検査やゲノム解析を実現するための次世代シークェンサ(NGS)技術開発など、ツール・ナレッジ・治療法に亘る支援を医療関係者に提供するという。日本では、国立がん研究センターと全国の医療機関、製薬企業10数社との連携による産学連携全国がんゲノムスクリーニング「SCRUM-Japan」プロジェクトが始動している。肺がん・消化器がん合せて4,500例を目標に、同意が得られたがん患者に対し、がん遺伝子異常のスクリーニング検査を受ける機会を無償で提供、次世代シーケンサーを用いた複数の遺伝子異常を同時に検出できるマルチプレックス解析を行い、匿名化された遺伝子情報と診療情報を一元的に管理するデータベースの構築を行い、医療機関・企業と協力して新たながん治療の研究開発を促進する。

ゲノム情報には、上記のようなDNA塩基配列のほか、DNA発現系としてのトランスクリプトーム(RNA情報)やプロテオーム(タンパク質情報)、メタボローム(代謝産物情報)、さらに、エピゲノム変化(DNAのメチル化などのゲノム修飾)、がんや体細胞変異などに伴い後天的に生じるゲノム変化等が含まれる。

そのため、一つの疾病に対しても、多数の遺伝子に注目したり、DNA塩基配列だけでなく、メッセンジャーRNA(mRNA)など転写産物(トランスクリプトーム)の動態、体液中のマイクロRNA(miRNA)やエクソソーム(exosome)、テロメア(加齢により次第に短くなっていく染色体の両端部位)の長さやGテール(テロメア末端の一本鎖部分)、さらには腸内常在菌叢(腸内フローラ)の分布パターンなど、より広い視点で患者や疾病を捉える必要があると考えられるようになってきた。個別化医療を実現するためにも、ビッグデータ解析を基礎に、統計的に精緻なグルーピングを行うことが重要になる。

主な技術要素

ゲノム、トランスクリプトーム、プロテオーム、メタボローム、次世代シークェンサ、NGS、遺伝子データベース、エピゲノム、エクソソーム、マイクロRNA、SNIPs、テロメア、Gテール、抗体、腸内フローラ、統計、データマイニング、グルーピング、コホート、疫学、体外診断、IVD、コンパニオン診断薬、遺伝子治療、がん遺伝子、がん抑制遺伝子、バイオインフォマティクス

確かなデータに基づき、
未来を予測する。
Nikkei-astamuse 成⻑領域レポート

NIKKEI astamuse

日本経済新聞社とアスタミューゼがまとめた
有望成長領域136分野のレポート販売中!

日本経済新聞社とアスタミューゼが全世界の論文・特許、国内外の国際会議やシンポジウム、
展示会等の情報、並びに独自ネットワークによる口コミ情報を活用し、
今後10年から20年のスパンで「大きく成長が見込まれる分野」を策定。

日本経済新聞社が関連ニュースなどをまとめ、
現在と近い将来の成長分野を立体的に解説します。

「2分でわかる」成長領域レポート
パンフレット(無料)のダウンロード
レポートご購入のお申し込み
PAGE TOP