126.介護/生活支援ロボット
市場概要
介護ロボット・生活支援ロボットは、大きく2つにわけられる。一つは、要介護者や障碍者、高齢者、病気療養者など(以下、要介護者)の介護や生活支援のために、ヒトが行う介護・生活支援サービスを代行するものである。もう一つは、リハビリや機能回復、生活動作の補助を行い、要介護者が自立できるよう支援するものである。いずれも、重負荷に耐えるだけでなく、優しく細やかな動きが求められる。
厚生労働省と経済産業省は移乗支援、移動支援、排せつ支援、見守り・コミュニケーション、入浴支援、介護業務支援の6分野の重点分野を定め、ロボットの開発・導入を支援している。現在までに実用化されているものとしては、1. 移乗支援では離床アシストロボット、2. 移動支援ではロボット技術活用歩行支援機器、3. 排せつ支援では排せつ予測デバイスや排便姿勢保持機器、4. 見守り・コミュニケーションでは非接触型徘徊見守りシステムやセラピーロボット、5. 入浴支援ではリフトキャリー、6. 介護業務支援では利用者中心の介護記録システムなどがある。
新しい技術を用いたものでは、パワーアシストスーツのように利用者が装着するタイプの移動支援機器や、電動車イスのようなパーソナルモビリティ(1-2人乗り用電気自動車)も開発されている。また、薬を飲む時間を知らせ、規定の時間以外には薬を提供しない服薬支援ロボットや、視覚障碍者などを盲導犬のように先導するつえ型ロボット、買い物をする利用者を誘導しながら動くカート型の買い物支援ロボット、表情認識機能や対話機能を備えた人工知能型ロボットなど、活躍の場も広がっている。
日本においては、少子高齢化の進展にあたって介護の負担が大きくなっており、介護現場での人手不足が深刻である。介護ロボット・生活支援ロボットは介護現場の負担軽減や生産性の向上につながるため、期待されているが、十分に普及しているとは言い難い。普及していない原因として、開発者目線の開発も多く、高機能だが高価格であり、安全性や性能の担保も十分ではなかったことがあげられる。国はこれらの問題点を認識し、現場のニーズを踏まえて前述の重点分野を指定し、早い段階での試作機器の介護現場での実証を支援している。
介護においてはコミュニケーションやプライバシーの保護が重要であり、ロボットの導入そのものにも抵抗感が表明されている。ロボットの普及にあたっては、要介護者が離床するときに苦痛を感じているかの検知など、高度のセンサにより要介護者の感情や気持ちを考慮する能力をもつことが必要となるであろう。
主な技術要素
歩行補助装置、介護システム、介助ロボット、寝たきり病人用などの身辺介護システム、障害物回避先導ロボット、看護介助ロボット、運動補助装置、入浴のための介護システム、バイラテラル位置・力伝達装置、リハビリテーションロボット、徘徊老人用追尾ロボット、身体吊具、表情認識装置、投薬制御システム、覚醒レベル評価システム、回復評価システム、介護無線報知システム、視覚障害者歩行支援システム