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131.インテリジェントスポーツ・スマートスポーツ

市場概要

「エレクトロニックスポーツ(eスポーツ)」という言葉は、一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)によると、2000年頃から使用され始め、「広義には、電子機器を用いて行う娯楽、競技、スポーツ全般を指す言葉」とされる一方、「コンピュータゲーム、ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称」(JeSU)ともされている。後者である狭義のeスポーツについては、先のジャカルタ・アジア大会開催中にバッハIOC会長が五輪競技不採用に言及したことも記憶に新しい。

ここでは、「インテリジェントスポーツ・スマートスポーツ」は、身体を実際に動かすことを基本とし、広義のeスポーツには含まれるが、狭義のeスポーツと峻別したものとして定義する。

スポーツの世界にも、ウェアラブル&ユビキタス、そしてIoT、ビッグデータという時代の波は押し寄せている。

2003年に米国で優先出願した「移動式生理学的モニタリングからのデータを処理する方法及びシステム」という生体情報センシングに関する特許(日本では特許5466351と特許5529796など)を保有するアディダス社は、アスリートの生体情報記録を解析することで、効果的なトレーニング方法の開発やゲーム戦略策定に役立てるスマートスポーツ構想を早くから温めていた。呼吸量や加速度、心電・心拍(ECG)はもとより、脳波(EEG)、筋電(EMG)、電気眼球図(EOG)、皮膚コンダクタンス、超音波など、多重パラメータによるモニタリング(MPM)を行うもので、現在、『miCoach』という製品・サービスをグローバル展開している。

バンドタイプのECG、靴や衣服に装着する加速度センサの併用による活動度測定、PC・スマートフォンへのデータ転送、プラットフォームアプリによるデータ解析、コーチング(運動のアドバイス)が主な機能である。シューズに装着するタイプでは、ゲーム中やトレーニング中の走行時間・走行距離・スピード・スプリント回数を計測。ワイヤレスでiPhoneやPCに送信し、データを客観的に把握できる。さらに、知財の中で、現在の 『miCoach』 に使われていない脳波などのセンサもあることから、今後はスポーツのみにとどまらず、メンタルヘルスケアやリハビリへの対応など、より広い分野への展開の可能性もある。 アディダス社は、 2012 Half Year Reportの中でも、『miCoach』を用いた「スマートフットボール」の創出を企てると述べている。

最近では、3軸加速度センサ、リチウムイオン二次電池、Bluetoothなどを搭載したサッカーボール、『miCoach SMART BALL』を発売するなど、スポーツ分野における生体センサ利用の牽引役を担っている。

同様の試みは、フィンランドのPolar Electro Oyにも見られる。同社は1977年創業、加速度センサやECG、GPS を組み込んだスタイリッシュなリストウォッチタイプのウェアラブルスポーツセンサの専門企業で、事業分野はスポーツ、フィットネス、アウトドアに集中している。専用解析ソフトによるスマートコーチング(トレーニングの計画、評価分析、ログなど)、ウェブサイト上でのトレーニング情報の提供など、スポーツのスマート化に注力している。

一方、エウレカコンピュータ社(埼玉県戸田市)では、コンピュータゲームを実空間に展開し、スポーツのIT化・ソーシャル化を実現するe-Sportsに取り組んでいる。これは室内にサッカー場やケンケン跳びゲームなどの仮想グラウンドを生成し、コンピュータプログラムによるインタラクティブなバーチャルゲームを、人間自身が実際に身体を動かして、仮想グラウンド上で演じるものである。赤外線センサとキネクトカメラ、プロジェクタ各1台ずつでARグラウンド(6m*4m)を4分割した1象限を生成。4つの象限すべてを生成するにはセンサとカメラ、プロジェクタ各4台ずつが必要となる。人間の動きに応じて、プログラムがボールや図形をグラウンド上に投影し、それをプレーヤが蹴ったり跳んだりする、またプログラムがボールや図形を動かし、ゲームを進行させる。複数プレーヤによる対戦も可能だ。速度・加速度・運動量等を定量化することで、トレーニング、フィットネス、リハビリ、脳トレなどに発展可能と思われる。

このように、インテリジェントスポーツ・スマートスポーツは、MEMSセンサによる生体センシングをベース技術としながら、VR・ARと融合することで、エンタメや脳トレなど、様々な分野への展開も考えられる。さらに、2020年の東京オリンピックを機に、スポーツのICTソリューションが本格的に動き出すと期待される。

主な技術要素

MEMSセンサ、生体情報、生体センシング、加速度センサ、多重パラメータモニタリング(MPM)、体温、呼吸量、活動量、心電・心拍(ECG)、脈波、脳波(EEG)、筋電(EMG)、電気眼球図(EOG)、皮膚コンダクタンス、超音波

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