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123.脳波応用・ニューロマーケティング

市場概要

ヒトが活動を行う際の生物学的基盤は脳の神経活動にある。脳は数百億の神経細胞から成り立っており、脳機能の解明のためにそれらの神経活動を取得する様々な方法がこれまで開発されてきた。神経細胞は活動電位を発生させて神経伝達を行うが、それに伴うエネルギー産生のために代謝が行われ、血流の変化が生じる。これら一連の過程で生じる信号を計測して、神経活動が生じた脳の部位を推定し、タスクや行動、刺激との関連を調べてきたのである。

電極埋込法や脳皮質電位法など侵襲的な計測法は制約が多いため、脳波(Electroencephalogram, EEG)や脳磁図(Magnetoencephalography, MEG)のほか、機能的核磁気共鳴画像法(functional Magnetic Resonance Imaging, fMRI)、近赤外分光法(Near-Infrared Spectroscopy, NIRS)など非侵襲的な計測法が開発されてきた。これらの計測法は空間分解能や時間分解能、精度や確度などの特性が異なり、計測可能な脳領域も異なるため、モダリティ毎に得られる情報も異なってくる。

これらの計測法により取得した脳活動の信号と、コンピュータなどの情報処理装置との間で直接信号のやり取りを行う技術が、脳機械インターフェイス(Brain Machine Interface, BMI)である。信号をやり取りする方向により、出力型BMIと入力型BMIに分けられ、前者は脳から得た運動信号から外部機器を操作するものであり、後者は外部センサーで取得した音や映像などを電気信号に変換して脳に入力するものである。BMIは、神経科学・情報科学の進歩と工学技術の発展により可能となったテクノロジーであり、ヒトの身体や機能を代替する技術として大きな期待が寄せられている。

一方、BMIとは逆に、外部から脳神経に刺激を与えて脳機能を刺激し制御するのが脳神経刺激技術である。これには非侵襲的方法と侵襲的方法があり、前者の代表的なものに経頭蓋磁気刺激(Transcranial Magnetic Stimulation, TMS)と経頭蓋直流電気刺激(Transcranial Direct Current Stimulation, tDCS)、後者の代表的なものに脳深部刺激療法(Deep Brain Stimulation, DBS)がある。TMSとtDCSは脳深部を刺激することはできないが、DBSは脳深部に電極を入れるため刺激することが可能である。

また、脳科学の発展と共に、脳計測技術や脳解析技術をビジネスに活用する動きも活発になっている。例を挙げると、米国のiBand+(アイバンドプラス)社は、ワイヤレスEEGヘッドバンドで体動・心拍数・体温をモニターし、ユーザーの睡眠サイクルを学習して、光と音楽で素早い入眠と自然な目覚めをもたらす製品を開発している。

また、EEGやfMRIに加え、アイトラッキングや顔の表情解析、心拍数・発汗などのバイタルサインの測定を加えて消費者行動調査を行うのが、ニューロマーケティングである。これは、消費行動における情動や感情といった非言語的領域を定量化、把握するリサーチ手法として大きな期待感が持たれており、国外では分野を問わずグローバル企業が積極的に事業活用を行っている。日本でも、自動車会社によるデザイン評価や、メディア・広告会社によるテレビCMの効果検証などの事例があるものの、取り組みは先駆的な一部の企業に限られており、今後の活用が期待されている。

主な技術要素

脳機械インターフェイス(BMI:Brain Machine Interface)、脳コンピュータインターフェイス(BCI:Brain Computer INterface)、脳波計(EEG)、や機能的磁気共鳴画像法(fMRI)、機能的近赤外線分光法(fNIRS)、脳血流、光トポグラフィ

確かなデータに基づき、
未来を予測する。
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