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未来を創る成長領域

25.データヘルス・医療ビッグデータ

市場概要

データヘルスとは、健康診断や医療報酬明細などの電子管理が進むことで電子データ化された健康医療情報を用いて個人の健康状態管理を行うことや、疾病の治療記録や治験の膨大な情報を統合してAI等により分析するこで、効果的かつ効率的な医療・保健事業の提供を指している。公的なデータベースには、国家保健医療データベース(NDB: National Data Base)、医薬品医療機器総合機構の保有する(MID-NET: Medical Information Database Network)での副作用データベース、国保連合会が保有する健診・医療・介護の各種データベース(国保データベース: KDB)、日本外科学会を基盤とする外科系諸学会が協力して構築する臨床データベース(NCD: National Clinical Database)や、日本医師会が構築した全国診療所の診療データベースの日医標準レセプトソフトクラウドサービスがある。さらには民間医療機関等における各種臨床データベース、調剤薬局による処方データベースを用いたり、健保とスポーツクラブ等が協力してデータヘルス計画の策定をしたり、要因対照研究による地域研究データ等の生成(センシング含む)したデータから解析・応用(最適化医療、個別化医療など)したりすることも可能である。これに伴い、健康医療情報を取得する各種アプリやガジェットが開発され、その拡がりとともに地域包括ケアや多職種連携ケアなどに活用され始めている。

政府は平成27年度からの「データへルス計画」を公表し、様々な企業が連携して新たな医療・保健事業の提供し始めている。タニタヘルスリンクは健康・医療などのビッグデータを活用し、産学官連携で誰もが利用可能な「健康プラットフォーム」を構築を目指している。医療報酬明細分析のデータホライゾンは医療、介護分野で連携する医薬品卸アステムと高齢者の健康寿命増進に対する方法を提案し、社会保険の負担軽減に対する取り組みを進めている。東芝は、地方自治体向けに医療ビッグデータの活用システムを2019年に導入し、2022年をめどに売上を30億円程度にする。また、DNAと疾病の因果関係をパターン化し、予防方法、治療法を開発する目的で、2019年に東北大学の開発した日本人ゲノム解析ツールを用いてゲノムデータの収集を開始した。米国Datapineは医療を受ける側が活用できるデータベースを提供しており、診療の待ち時間や、治療の種類とコスト、最近の治療の内容と全体に対する比率等、各医療機関情報により患者が診療機関を選定するサポートサービスを提供している。個人用の健康データデバイスとしてスマートウォッチはAppleが先行して展開してきたが、健康データに特化した「Fitbit」は心拍数に加え飽和酸素濃度検知部(法的に未認可のため将来的に利用可能)も搭載し、「Apple Watch」を超える機能と低価格・長バッテリー寿命を有している。Apple Watch4では利用者の転倒を検知して直接医療機関に連絡したり、心拍数から心電図データを取得して医療機関と連携する機能など、よりデータヘルスデバイスとしての機能が拡張されてきている。

これらの医療ビッグデータとAIや個人や個別医療機関の保有するIoTデバイスとを組み合わせ、統合的な医療・保健サービスの構築が期待される。日本では、政府が主導して文科省・厚労省・経産省の協力により、2022年度末までの到達目標として「高セキュリティの医療情報データベース構築」「 AI支援による医師―患者間のコミュニケーション増進と医療従事者の負担軽減」「 AIを利用した遠隔画像・病理診断、血液による超精密診断」などによる『AIホスピタルシステム』導入モデル病院の運用開始を掲げている。また、法的な整備においても、2018年5月から、カルテや検査データなどの個人の医療情報を集めて「医療ビッグデータ」とし、企業や研究機関に提供する制度が「次世代医療基盤法」で設置され、国から認定された民間の事業者が情報を匿名化したのちに提供するサービスが始まっている。日本医師会はこれに対し、匿名性の確保と運用管理の観点から、認定事業者間の連携の調整役として、認定事業者連絡協会(仮称)の設置を提案している。これら法的整備と医師会を含む医療側の理解と利活用により、患者のデータを基にした効果的で効率的な医療を提供し、患者とのコミュニケーションの支援による医療従事者側の負担も軽減を目指す。

今後も医療ビッグデータを活用したサービスがさらに増え、それに伴い健康寿命は延びていき、人生100年時代を後押しすることになるだろう。

主な技術要素

高精度デバイス(医療機器認可レベル)、ウェアラブル、IoTデバイス、健診・医療・介護等のデータベース、AI解析ソフトウェア、健康指導・遠隔医療・見守り等のユーザー向けサービス、電子カルテ、ゲノム・遺伝子解析ツール、など

確かなデータに基づき、
未来を予測する。
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