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22.認知症・神経変性疾患医療

市場概要

認知症とは、世界保健機関(WHO)による国際疾病分類第10版(ICD-10)によると、「慢性あるいは進行性の脳疾患によって生じ、記憶、思考、見当識、理解、計算、学習、言語、判断など多数の高次脳機能障害からなる症候群」と定義されている。認知症を引き起こす主な疾患としては、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などがある。これらの中には根本的な治療が困難なものが多いが、血管性認知症は脳梗塞や脳出血、クモ膜下出血などが原因で発症するため、高血圧や糖尿病、脂質異常症(高脂血症)などの基礎疾患を治療することで、発症予防や進行抑制が可能である。

一方、神経変性疾患とは、血管障害や感染症、中毒などの明確な原因がなく、神経細胞が減少・死滅してゆく疾患群を指す。発症や進行は緩徐であるが、神経細胞は再生能を持たないため不可逆的に進行し、最終的には重篤な病態に至るものが多い。疾患毎に、特定の解剖学的部位(大脳・基底核、小脳、脊髄、末梢神経など)や特定の種類の細胞が選択的に障害を受けるが、その原因やメカニズムは十分に解明されていないものが多い。

近年、分子細胞学や分子遺伝学の進展により、疾患に関連する遺伝子やタンパク質が同定され、分子病理が明らかになってきている。タンパク質が正常な立体構造をとる過程において、折り畳みに失敗(ミスフォールディング)し、分解を免れたミスフォールドタンパクが凝集して神経細胞内に蓄積することが明らかとなり、それらの神経変性疾患はコンフォメーション病(Conformation Disease)と名付けられている。

代表的な認知症と神経変性疾患として、アルツハイマー型認知症、パーキンソン病を紹介する。アルツハイマー型認知症は、記銘力障害を主症状とする疾患で、アミロイドβタンパク凝集体がシナプスを障害し、リン酸化タウの蓄積と神経細胞死をもたらす。最も頻度が高い認知症であり、高齢社会を迎えている先進各国では国家的課題として取り組まれている。画像診断バイオマーカーとしてADNI(Alzheimer’s Disease Neuroimaging Initiative)というコホート研究が北米や日本で行われている。治療薬であるドネペジルは1999年に日本で承認されたが、2014年にレビー小体型認知症治療薬としても追加承認された。

また、パーキンソン病は、黒質のドパミン神経細胞の変性により、安静時振戦や筋固縮などの運動症状を引き起こす疾患である。これまでの治療法は対症療法としての薬物療法のみであったが、2018年11月に京都大学病院において、iPS細胞から作成したドパミン産生細胞を移植する治験が着手され、根治療法としての期待がかかっている。

医学的な研究や治療薬・治療法の開発など医療面での進展がある一方で、認知症や神経変性疾患における診断や介護に対して、人工知能(Artificial Intelligence, AI)やもののインターネット(Internet on Things, IoT)の活用など医療外のアプローチも進められている。

主な技術要素

抗認知症薬(塩酸ドネぺジル、ガランタミン、リバスチグミン、メマンチン)・パーキンソン病の薬(レボドパ、ドパミンアゴニストなど)などの薬物療法, 非薬物療法(回想法・音楽療法)、ips細胞を活用した療法、AI診断、オンラインを活用した事前予防、など

確かなデータに基づき、
未来を予測する。
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