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未来を創る成長領域

129.人工筋肉/ソフトアクチュエータ

市場概要

外界の物理化学的エネルギー(電力、磁力、圧力、温度など)を伸縮、屈曲、回転などの動力に変換するものをアクチュエータ(actuator:作動装置)と呼ぶ。

一般的なアクチュエータはモーターのような機械で駆動するものだが、ソフトアクチュエータと呼ばれるものは刺激応答性の高分子材料を用いており、外界の温度、電場、イオンなどで高分子の構造や物性が変わることで駆動する。

近年32℃を境に水和と脱水和が起きるポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAAm; poly(N-isopropylacrylamide))の網目構造に磁場配向した無機ナノシートを取り込ませたソフトアクチュエータが理化学研究所から2015年に報告され、注目されている。このほかナノスケールで制御した高機能材料である超分子をソフトアクチュエータ材料にする研究も東京大学などで行われている。

ソフトアクチュエータは「外界からのエネルギーに柔軟に対応できる点」や「軽量性」が一般のアクチュエータより優れており、人工筋肉へ応用されている。利用形態としては、ロボットや重機などにおける人間の骨格筋を模した文字通りの人工筋肉がある。建築現場や介護分野での腰の負担を軽減するための動作補助用の人工筋肉・マッスルスーツが2014年からすでにイノフィス社から販売されている。このほか、人工心臓・人工肛門等の人工臓器の駆動素子等のマクロな系への応用(パワーアクチュエータ)のほか、薬物徐放システム用デバイス、マイクロポンプやマイクロバルブ等のミクロな系への応用(マイクロアクチュエータ)も進められており、人体の動作を支援する動作支援装置やヒューマノイド・ロボット、湾曲動作をなす内視鏡装置など、様々な特許も生まれている。

さらに今、光や振動、熱などの僅かな環境エネルギーを活用する環境発電またはエナジーハーベスティングと呼ばれる技術が興りつつある。例えば理化学研究所では2016年に「外部の温度変化を検知すると”動く”高分子の薄膜」を開発し、現在その動きを効率的に電気エネルギーに変換する取り組みを行っている。この高分子薄膜のポイントは、「汎用温度計では測定できないほど僅かな温度変化でも動くこと」、「理論上半永久的に動き続けること」である。今後この技術を発展させることで、外温の変化を検知し発電や充電する軽量でコンパクトなデバイスが生まれると期待されている。

このようにソフトアクチュエータは新しい発想と挑戦が進められており、今後さらに活躍の場が広がると考えられる。

主な技術要素

動力変換、ロボット関節屈伸、制御、流体圧、空気圧、圧縮空気、コンプレッサー、アクチュエーター(actuator:作動装置)、マッキベン型、導電性ポリマー、カーボン・ナノチューブ、形状記憶、磁性ゲル、フレキシブルポンプ

確かなデータに基づき、
未来を予測する。
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