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イベントレポート

IoT衣服=スマートアパレルe-skinを展開する東大発スタートアップ「Xenoma(ゼノマ)」と、「アスタミューゼ」が考えるコロナを乗り越える戦略 vol.2

イベント概要

アスタミューゼ 特別Webセミナー(ウェビナー)
「Beyond COVID-19 新しい世界を創り出す企業のいま Vol.2 」
~IoT衣服=スマートアパレルe-skinを展開する東大発スタートアップ「Xenoma(ゼノマ)」と、「アスタミューゼ」が考えるコロナを乗り越える戦略~
開催
2020年08月04日
場所
ZOOM Webセミナー
時間
15:00~16:00

ゲストスピーカー

  • 網盛 一郎 氏
    株式会社Xenoma
    Co-Founder & 代表取締役CEO
  • 白木陽次
    アスタミューゼ株式会社
    取締役 CDO(Chief Design Officer)
網盛 一郎 氏
株式会社Xenoma
Co-Founder & 代表取締役CEO
2006年米・ブラウン大院卒(Ph.D.)
白木陽次
アスタミューゼ株式会社
取締役 CDO(Chief Design Officer)
千葉大学大学院 自然科学研究科 修士(デザイン専攻)

Vol.1 はこちら

"緊急事態宣言"で、まず経営者として、考えたこと

川瀬:次に、4か月前、2020年4月7日緊急事態宣言が出ました。その前から企業の一部では、リモートワークであったり、企業活動の一部を停止したり、身近なところでは飲食店の休業などがあります。その時、網盛さんがXenomaのトップとして考えていたことをシェアいただけますでしょうか。

網盛:まず、すでにご発注をいただいていたので、発注キャンセルがあるかもしれないことを考えました。また昨年の末くらいから資金調達を進めていて、昨年の8月にはシリコンバレーで話をしていたり、年末には日本の投資家さんとも話をしていました。この状況で資金を出すかどうかを考えてました。この事象が起こり、まずは投資家さんからキャッシュアウトを極力止めようという話がありました。そして、キャッシュがいつまで続くのか、つまり倒産ですが、倒産しないためにどうするか、冷静に経営企画部と話し、常識的な範囲で活動を絞り込んだ場合、どこまで続くかを計算しました。レイオフはまず考えず、自分たちの企業規模のなかで何か月持つのかどうかを一番最初に考えました。幸いなことに致命的なことは無く、僕らとしてはやるべきことを再構成していきました。

川瀬:トヨタ自動車でさえ2兆円の借金を用意したなどの話もニュースで出ていました。網盛さん、その時、経営者としての感覚で、これはどれくらい続くだろうかというのは予想していましたか。

網盛:会社は、無策だとしたら夏が越せたかどうか分からない状態でした。コロナ自体は、少なくてもワクチンができることは、すぐにはないと思っていたので、最初から最大2年くらい続くのではという想定はしていました。

白木:コロナ禍で、アーバンリサーチさんとの協業のリリースを出されてたと思うのですが、そのあたりの事業インパクトは、いかがでしたか。

網盛:アーバンさんとの協業はそこまで事業インパクトはなかったですが、僕自身が勉強になったところで言うと、この時期にアパレル業界が倒産するなどのニュースが出ていました。正直、発注キャンセルを覚悟していましたが、ローンチの時期を遅らせたりしましたが、6月初旬には販売をスタートし、8月から店舗販売がはじまります。その時に先方の役員さんが話されていたのは、「アパレルはシーズンごとに新しいものを出して価値を出していたけど、スマホアプリを入れたら服の機能が変わる。それ自体が面白い。」と仰っていて、センサーが搭載されている服という意識であり、服そのものの意味が変わるという事は、冷静に考えればわかるが、服そのものの価値が変わって、春物や夏物を買うということが変わるので、今回、きっと先方も大変だったと思いますが、順調に店舗に入れていただきました。

経営者として考えたこと

緊急事態宣言のなか、事業を推し進めるための取り組みについて

川瀬:次に、緊急事態宣言後のコロナ禍で、事業を具体的にどう進めたかをお話しいただければと思います。給付金で家電が売れている、一方でアパレルや化粧品の売上が下がった。当たり前のように、Uber EatsやNetflixが急激に伸びるなどがありました。巣籠消費がそのトレンドワードになり、消費者の欲求も変わりました。網盛さんが、そこでやられたことをお話しください。

網盛:コロナによる社会的な変化は、明らかにスタートアップには大チャンスで、すごく面白いところです。実は、人間は思ったほど生活様式は変えないので、既存の大企業の売上がある程度守りながら推移していたのは、その例かもしれません。ただ、この時に私は何をするのかということは、多くの人が考えることなので、会社としてのメッセージは改めて出しました。

会社としては、イケイケどんどんとしていくという攻めの姿勢を出しました。私はオムロンの創業者の立石一真さんをリスペクトしていて、「企業は社会の公器である。」という言葉を大事にしています。そうではない企業は存在意味がないと思います。とにかく、国が70%のリモートをするなら同様にやる。もちろん、給与の保証もするし採用活動も続けますと宣言をしました。

2020.04.13 のメッセージ

3つめが、マスクを作るという事です。2月の段階でXenomaとしては一切議論をしていなかったのですが、僕自身は、ずっと考えていて、網盛一郎個人が、マスクを何とかしないといけないなと思っていました。ただ、僕らは医療用の不織布マスクは作れない、布のマスクの有効性は定かではなかったのですが、僕個人がエンジニアとして思っていたのが医療行為に近いことには踏み込まないが、WHOが布マスクも一定の効果があるという事を言いはじめたので、僕らは大学発ベンチャーなので、国のメッセージや研究論文にアプローチできるのでサーベイして、自社でマスクを作りました。

ちなみに、今日のセミナーの参加者の方へ、御礼を込めて、ECサイトで20%オフで購入できるクーポンをお渡しします。(※キャンペーンは終了しております。)

白木:おぉ、すごい、サプライズ!

網盛:もともとマスクで売上を上げたいわけではなく、保育園向けに無償で提供させていただきました。そのような活動に賛同いただいている方々には、ご購入いただいて少しづつ売上が見えてきました。このマスクは、とにかく通気性良く快適に過ごすことだけを志向して作ったマスクです。スポーツ医学会が走るときはマスクを着けないことを推奨しました。それは極めてもっともなことです。ただ熱い炎天下などでもマスクを着用したい方には、ぜひうちのマスクを使って欲しいと思います。マスク自体の有効性は、エジンバラ大学がやっている実験のようにマスクが機能するかどうかは、都度検証しています。

Xenoma社の製作した布マスク

網盛:結局、社会様式が変わるとどうなるかという事ですが、Beforeコロナまでは、ジムはオンラインなんてとんでもないという事でした。我々のボディースーツはセンターにステーションがないものです。そもそもの売りは、これを使うことで、一度にたくさんの人をジム内でデータを取りながら、トレーニングできますという事でした。

しかし、コロナでいまは密はダメです!となっており、誰もジムに来てくれない。トレーナーはいるし、オンラインで繋げば、フィットネスをやりたいニーズはあるという事で、完全に価値が逆転した事例です。僕らの装置があればフィットネス側もユーザー側もオンラインでデータのやり取りができます。このような状況で、たまたま僕らの製品はオンラインフィットネスの流れに乗りましたし、また製品自体も合っていました。いままでジムでしかできなかったことを、自宅でもできる。英会話のレアジョブさんとかみたいに、オンラインのフィットネスも普及していきそうなので乗っていきたいと考えています。

オンラインフィットネスの普及

網盛:生活様式が変わるという事は、いままでサービスを使っていなかったヒトも使う可能性があるという事で、既存のプレーヤーや大企業では、なかなかシフトできないところをスタートアップとして入っていくところにチャンスが大きくあります。リーマンショックの後と同様に、大きな事象が起こるとスタートアップにチャンスがあるのは自然の流れだと思い、まさにいま実感しています。

以前はアーバンリサーチのパジャマは、いまは若い人に売るようにアーバンさんがセールスしてくれていますが、元々は高齢者の見守りでした。今年は、僕、実家には帰れないのですが、パジャマを使えば遠隔での見守りが可能になります。そもそも遠隔で見守るという意義や意味がコロナで変わってきているので、ローンチを早めてシステム開発をしています。社会の生活様式が変わることでヒトが必要とするものが変わり、なおかつお金を使えてた場所で使えないことで、他の選択肢は増えてきています。そういった変化に対して、いままで固定概念のせいで結びつかなかったことが、コロナのおかげで、次のステージに行ける面があると僕は思います。

アーバンリサーチ社との共同開発パジャマ

白木:一ついいですか。コロナの状況でキャッシュアウトを減らすという事は、当社も同様でした。その一方でマスクを制作され、保育園に2万枚も配布された。この辺の判断というのはどういった風にされたのでしょうか。製造はコストがかかる部分であるので、かなり重い判断だと思います。そこはどう決めたのですか。

網盛:「企業は社会の公器である。」という以上、社内の事業ではなく、僕自身の社長のタスクフォースとして、いくらのお金を使うかをスパッと決めて、マスクをデザインして製造するプロジェクトチームをアサインしてスラック内に編成しました。

白木:社内での給料確保や人材採用のメッセージを発信されたうえで、マスクの製造もやっている。安心面を担保した上で新しいことに挑戦したということですね。

網盛:Xenomaの社内では、コロナで仕事が無くなって不況で大変という雰囲気は、全然なくて、マスクのタスクフォースを行う段階で、もし知人や友人のなかで職を失った方がいたら、当社のマスク作りを手伝ってもらい職を得てもらおうと周知しました。結果、友人の方でバイトで働いてくれて、そのまま別の業務をやっている人もいます(笑)

少なくともお金を心配して乗り切れないことは、裏付けもあり計画もあったので、全くなかった。スタートアップとしての経験値は、いままで社内で量産するという経験は全くなかったため、このマスクで生産工程の経験ができました。実際に、2万枚の内、3千枚は社内で作りました。生産工程でタクトタイムを立てて、工程の無駄を見つけるなどという生産現場の経験ができました。プロダクトを作るときは工場で指示しなければならないケースもあるので社員の経験としては、すごくよかったです。生地の調達からデザイン、生産からコンシューマへのセールスまでをやる経験はお金をかけてもいいなと思い、ほぼ独善的に判断しました。

白木:なるほど。そういうことができると社内の熱量が上がりチームワークが高まりそうですが、その辺はどうですか?

網盛:最後の方は疲弊してましたけど(笑)、みんな楽しんでは作ってましたよ。「あと、網盛さん、500枚作るんですか!」とかありましたけど。

白木:初歩的な質問ですが、作るのって大変ですか?

川瀬:網盛さん、スマートなんで詳細語られなかったのですが、4月16日の段階で、マスクを保育園に寄付することを決めていて、安倍さんのマスクがエイプリルフールかよと言われた4月1日だったので、その2週間後に発信しているという事は、着々とコロナの影響が増える前に準備していたわけで、すごく企業としてはチャーミングですよね。

一つ質問があって、雇用を守るということに加えて、2名採用すると決めたことは、すごいなぁと。僕らも採用サービスをやっているので、理由を伺いたいです。

網盛:ちなみにコロナだから取ろうという事ではないです。この状況下であっても、計画を推進できる目処が立ったので、やるべきことをやるという意味で採用することを決めました。

川瀬:そこもスマートですね。僕の友人の経営者とか、「いま、優秀な人材がマーケットに流出してないか?!どうだ?いつでも取るぞ!」と割とクレバーに仰っている人もいたりするので、あえて聞いてみました。

違いましたね(笑)。やるべきことをやると。失礼しました。

Vol.3 へ続きます(近日公開予定)

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